大阪弁護士会の活動

裁判員制度

大阪弁護士会からのアピール

裁判員、補充裁判員になった方に覚えておいて頂きたいこと

被告人には、刑事裁判の大原則である「無罪の推定」が働いています。

ですから、弁護人が無罪を証明しなければならないわけではなく、検察官に法廷で有罪であることを立証する責任が課せられているのです。

ここで、無罪の推定とは、有罪判決があるまでは被告人は無罪であるものとして見なければならないという原則です。

たとえ事前にマスコミが被告人を殺人犯として大きく取上げていたとしても、また、捜査を経て殺人罪で起訴されたとしても、被告人が殺人犯であるかのようなイメージを持って法廷にのぞむことは、決して許されないのです。

つまり、裁判員の方々は、法廷で行われる証人尋問や被告人質問から、被告人が間違いなく犯罪を行ったのだと思った時はじめて、有罪という判断が出来るのです。

検察官の証明が不十分で、その事実があるという確信が持てない場合、被告人がやったというにはためらいがあるような場合には、被告人の利益になるように無罪の判決を言渡さなければなりません。

裁判員制度で扱われる事件は、量刑が重いことからしても、絶対に冤罪は許されない事件ばかりです。

ですから是非、無罪の推定という刑事裁判の大原則を心に留めて、法廷にのぞんで頂きたいのです。

公判前整理手続と裁判員制度
裁判員制度実施に伴い、取調べの可視化が必要になります!!

日本では密室での取調べが行われています。密室での取調べが、多数の虚偽自白、冤罪事件の温床となっていることは確かです。

また、密室での取調べであるため、言った、言わないという水掛け論で、裁判が長期化し、しかも、判断が難しくなってしまっています。

裁判員制度では、公判前整理手続(公判の審理が連日開廷により集中的に行われ、時間的には制約されることになる手続)が採用されますから(裁判員が参加する刑事裁判に関する法律49条)、このような水掛け論を防ぎ、端的に供述経過を示す必要があります。そのため大阪弁護士会では、1990年代から全国の弁護士会に先駆けて、取調べの全過程を録画・録音すること(「取調べの可視化」と呼んでいます)の必要性を訴えてきました。

国際的に見ても、1980年代に可視化を実現したイギリスをはじめ、オーストラリア、カナダ、イタリア、アメリカの各州などの欧米諸国で取調べの録画・録音が行われていますし、アジアでも、台湾やお隣の韓国でも可視化が実現しています。その他の国でも、取調べにおける弁護人の立ち会いが認められています。

録画・録音も立ち会いもない日本は、国際的な潮流に立ち遅れた可視化後進国なのです。

しかし、日本の捜査機関をはじめ、政府見解も、取調べを録音、録画などすると、真相解明に必要な自白が得られなくなるとして、取調べの可視化に消極的です。

ですが、可視化をしたら真相解明できなくなるなどという実証はなされていません(諸外国では、逆の報告が多くなされています)。むしろ密室取調べは取調室での真相を隠してしまうのですから、かえって真相解明を妨げているというべきです。国際的な可視化の潮流にも反します。

そして、裁判員制度のためには、取調べの可視化を実現することが必要不可欠なのです。

(詳細については、日本弁護士連合会ホームページ
特に、「取調べの可視化(録画・録音)の実現に向けて-可視化反対論を批判する」をご覧下さい)。

是非大阪弁護士会や日弁連の取り組みに、ご支援、ご協力をお願いします。

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